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FullDepth Stories Vol. 5

対談

株式会社イノカ
高倉葉太氏・増田直記氏
×
FullDepth CEO 伊藤昌平

株式会社イノカ 高倉葉太氏・増田直記氏
× FullDepth CEO 伊藤昌平

環境移送と水中ドローン、両社でタッグを組み
海の情報化、人と海の共栄を実現していきたい。
対談:株式会社イノカ/高倉葉太氏(代表取締役CEO)・増田直記氏(取締役CAO)× 伊藤昌平(株式会社 FullDepth 代表取締役社長 CEO)

「100年先も人と自然が共生する世界を創る」をビジョンに掲げ、高度なテクノロジーで環境移送による人工生態系の再現を推進している東大発ベンチャー企業、株式会社イノカ。その経営理念や活動内容に以前から関心を抱いていた伊藤。イノカ社内のアクアリウム前で行われた対談は、伊藤の「起業のきっかけは?」という問いからはじまりました。

「エンジニア出身なので、ものづくりが好き。自分で作ったものを世に出したいと思っていたが、アクアリウム市場には最初興味なかった」と答える高倉氏。対しては、増田氏の回答は「どこにでもいるようで、探すといない生物が好き。そういう生物が見られる会社を作りたいと思っていた」
同じく生物好きの伊藤も興味津々となり、増田氏の話は続きます。
「昔、ヘラクレスオオカブトムシが好きで、どういった森でどういう木でどういう生活をしているのか、知りたくてネットで調べたけど該当するページがない。同じように水生生物を自然に近い形で飼ってあげたいと思って、その魚が自然界で何を食べているか調べてもわからないことがほとんど。そういう謎を解き明かしていきたいと思った」

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話題は増田氏が興味を持っている水中ドローンに移ります。「海の中は視界が悪いケースもあるので、そういったところで水中ドローンが心強い味方になってくれると期待している。ダイビングという手もあるけど、たいへんだし、命の危険もある。環境移送の精度を高めるためにもFullDepthとはぜひ協働したい」続いて“FullDepthと他のドローンとの差別化点”を問われた伊藤は、「当社のドローンは、“産業機”と言えば一番わかりやすいと思う。
映像を撮るだけでなく、何らかの作業にも貢献する。それゆえ、インフラまわりの仕事が多い。石油の掘削プラントの建造などに使われている軽自動車クラスのROV(Remotely Operated Vehicle)というものもあるが、その下に位置するもの。深く潜れることが特徴。水中の構造物は水深が深く、点検作業がものすごくたいへん。潜水士さんの代わりに、あるいは潜水士さんが潜る前に水中ドローンが情報を集める。濁っていて見えない場所は音波を使って視化する。そうやって建設工事の計画立案のために有益な情報を提供したり、進み具合をチェックしたり、完成後は保守点検に貢献する」

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今度は反対に伊藤が高倉氏に株式会社イノカの事業内容を尋ねました。
「子どもたちに珊瑚や魚を通して生き物を見る目を養う授業をしたり、SDGsに賛同する企業に環境保護のアプローチをコンサルティングしている。
でも、私自身が一番やりたいのは“水生生物を未来に残す”ということ。今、構想中なのはAIデータを活用した環境移送。膨大な海のデータが必要になってくるので、本音でFullDepthの水中ドローンが欲しい!」

実際に水中ドローンで撮影した映像を見せながら「こういった情報を集積してGoogleストリートビューの深海版を作るが私の夢」と語る伊藤に「それはすごい!バッテリー1本で4時間、これだけの映像が自由に撮れるのはうらやましい」「映像がすごく綺麗。海底の質感やマリンスノーがはっきりわかる」と感想を述べる高倉氏と増田氏。さらに海流の影響を受けない約28kgの重量と3mmのケーブル、深海3,000mまで行ける潜行能力などの説明の後、両社共通の関心事である「海の情報化」への話題は移ります。「海のあらゆる情報が当たり前に検索できるようにならないといけない。情報が少ない中で、洋上風力発電などの海上開発を進めていくことに危機感を感じる。人と海が共栄していくための課題」と切り出す伊藤に「海の中は見えないけれど、それを“環境移送”という形で切り取って“こうなっていますよ”と見せられるのが私たちの仕事」と応える高倉氏。伊藤の「“環境移送”で深海水槽が作れるか?」との問いに専門的な話もまじえながら「可能」と答える高倉氏。
そのためには「我々がタッグを組む必要がある」とのメッセージを受け、両社の近い将来のコラボレーションを約束しました。

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株式会社イノカ
「100年先も人と自然が共生する世界を創る」をビジョンに掲げ、環境移送技術の研究開発と社会実装を推進している東大発のベンチャー企業。水質・水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係など、多岐に渡るパラメータのバランスを取り、自然に限りなく近い形で、海を切り取り、そのままその環境を陸上に再現する“環境移送”を展開。さらにこれらの「人工生態系」を活用して、広める(児童等を対象にした環境教育)・活かす(企業との協業による生態系の活用/価値化)・残す(種の保全)といった幅広い活動も進めている。